台風19号 行楽客減少、大子の農家「リンゴ狩りに来て」 落下少なく道路も無事

茨城新聞
2019年10月28日

台風19号の被害が伝えられる大子町で、奥久慈リンゴ農家の表情が曇っている。同町は被災地のイメージが行楽客にも影響し、旬を迎えたリンゴ狩りの客は例年に比べ減少。大きな被害はなかった観光りんご園主たちは「道路は大丈夫。気軽にリンゴを食べに来てください」と来園を呼び掛けている。

同町はりんご園が40カ所にあり、各園でさまざまな品種の試食を楽しめ、もぎ取りができる。樹木で完熟させて収穫するため、市場には出回らず、その場で味わってもらい、販売するのが特徴だ。

台風により久慈川流域の2カ所のりんご園で、樹木が流されるなどの被害が出たが、奥久慈りんご園の塙正比古さん(70)、姫ケ滝りんご園の斉藤弘任さん(61)は「全体的には、大被害というほどではない」と口をそろえる。ほかのりんご園でも風が弱かったため、リンゴの落下は少なかった。

だが、「被災地・大子町」は行楽客に強い印象を与え、りんご園や町観光協会に「車で行けるのか」「リンゴはあるのか」などの問い合わせが相次いだ。現在、「陽光」「ぐんま名月」「清明」などの品種が旬で27日、各りんご園は、リンゴの詰まったビニール袋を両手で持つ客が目立ったが、例年より減っているという。

町特産の「大子那須楮(こうぞ)」を使った和紙の作品展を実施中の藤田観光りんご園は「道路は通れるかとの電話がある。不安に感じる客がいるのは確か」(藤田卓さん)と話す。町観光協会の副会長でもある豊田りんご園の豊田茂男さん(61)は「客は激減している。月が変わっても来ないと、リンゴが駄目になる」と顔を曇らせる。

リンゴ狩りで訪れた行楽客からは好評で、日立市から家族6人で訪れた菅野彰さん(69)は「リンゴをもぎ取る楽しさがいい。種類は多いし、取りたてはうまい」と笑顔。埼玉県蓮田市の権田侑子さん(37)は「シャキシャキしておいしい。ここのリンゴを食べたら、ほかは食べられない」と、おいしさに太鼓判を押す。

11月上旬から代表的品種「ふじ」の季節が始まる。紅葉とともに人気の「ふじ」は赤くなり、蜜も入る。各りんご園で、たわわに実るふじの食べ頃は、もうすぐだ。

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