《食いこ》丸三老舗(鹿嶋市) 伝統と新感覚 味の共演

茨城新聞
2019年7月14日

1822(文政5)年創業の鹿嶋市の和菓子店「丸三老舗」。鹿島神宮に近い神宮駅前店を訪ねるとスタッフが笑顔で迎えてくれた。同店は地元の人だけでなく、鹿島神宮の参拝客やアントラーズサポーターの来店も多いという。もなかや水ようかん、季節を感じさせてくれる上生菓子などが並ぶ。同店内に併設されるカフェでは、夏場に出すかき氷が人気を集める。

7代目となる社長の笹沼和彦さんは「おいしさの定義も変わっていく。守るべき伝統は守りながら、変えるべきところは変え、時代に合わせた味で、お客さまに満足していただきたい」と話す。菓子作りに新しい感覚を取り入れ、県産素材の利用に力を入れる。

和菓子の基本ともいえる小豆あんは、厳選した北海道産を使い自社で製造する。同店を代表する「常陸風土記」はふっくらと炊きあげた小豆と軟らかな求肥(ぎゅうひ)の組み合わせ。天皇陛下に献上したこともあるという和菓子。30年以上前、父の清和さん(故人)が商品化したという

和彦さんが商品開発を手掛けた「元祖はま栗」は、鹿島灘特産のハマグリの形をイメージさせる皮で、県産栗の渋皮煮と求肥が入った和栗あんを包むもなか。遊び心たっぷりで、栗はハマグリと言葉をかけ、求肥は貝柱に見立てた。網に入った5個入りは潮干狩りを思わせる。第1回茨城おみやげコンクールで奨励賞、第26回全国菓子博覧会観光庁長官賞を受賞した。

季節の果物をくるんだ「極(きわみ)大福」シリーズも人気を集める。新鮮な県産のメロンやイチゴ、ブルーベリー、シャインマスカットなど季節ごとのおいしさが味わえる。メロンは15日までで今季は終了となる。同店では16日からブルーベリー、9月になるとシャインマスカットの極大福が店頭に並ぶ予定。

店内併設の「まるさんCafe」では5~9月、かき氷を提供する。氷は冷凍庫から出して温度を少し上げてから削ることで「ふわふわ」な食感に仕上げるという。和菓子店ならではのこだわりは自社製のあんやみつ。白玉と寒天、イチゴやメロンなど県産果物のシロップはカフェで作る。

■お出かけ情報
丸三老舗(神宮駅前店)
▼鹿嶋市宮下2の9の6
▼営業時間は午前9時~午後7時(10月半ばまで、10月半ば~4月は午後6時)、まるさんカフェは午前10時~午後5時半
▼(電)0299(83)0303

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