敬愛、高評価 交流重ね 自筆原稿や詩集…60点 中原中也と萩原朔太郎 前橋文学館企画展

上毛新聞
2015年10月30日

近代詩の中で確かな位置を占める山口市出身の中原中也(1907~1937年)と前橋市出身の萩原朔太郎(1886~1942年)に焦点を当てた企画展「中原中也と萩原朔太郎」が、同市千代田町の前橋文学館で開かれている。中也の自筆原稿や詩集、遺品など約60点の資料を通して、新たな朔太郎像を感じられる企画展だ。

中也は34年に第一詩集「山羊の歌」を刊行したが、すでに朔太郎は詩壇の中心人物だった。2人の年齢が21歳も離れていたことや中也が30歳で早世したため、直接交流する機会は多くはなかった。それでも互いに関心を持ち、著書を贈るなど交流を重ねていた。
雑誌「ふらんす」(白水社)の37年10月号に、朔太郎の評論集「無からの抗争」の広告が掲載されている。中也はその広告に草野心平とともに推薦文を寄稿。「文学的苦労人、何か暖かいものが感じられる」と記すなど、朔太郎を敬愛していた様子が分かる。
一方、朔太郎は文芸誌「四季」(四季社)35年夏季号で、中也の詩集「山羊の歌」などに触れ、「非常に緊張した表現であり、この詩人の所有する本質性がよく現れて居る」「賛辞を呈する」と高く評価している。
朔太郎は中也を伴って前橋に帰郷しようと計画したことがある。詩人の丸山薫に中也への問い合わせを依頼したはがきや、前橋市出身の詩人、萩原恭次郎に 中也の不参加を告げる書簡が展示されており、中也への関心の高さが伝わってくる。
中也の没後、「文学界」(文芸春秋社)は37年12月号で追悼特集を組んだ。朔太郎は「中原中也君の印象」と題した追悼文を寄せ、中也との思い出をつづった。40年に編集した「昭和詞鈔」(冨山房)には、昭和を代表する詩人の一人として中也の詩5編を掲載しており、中也をいかに高く評価していたかを知ることができる。
企画展では山口市の中原中也記念館の協力で、小学生の頃の習字や成績表、赤字で指示の入った校正刷り、着用していたコートなども紹介。育った環境や落第の経験、音楽への関心など朔太郎との多くの共通点を浮かび上がらせている。
前橋文学館の斎木雄造館長は「中也のこれだけの資料を県内で見られることは珍しい」と来場を呼び掛けている。

【メモ】11月29日まで。11月14日午後2時から詩人の佐々木幹郎さんと建畠晢さんが「中也と朔太郎の世界」と題して対談する。参加無料。先着100人(事前申し込みが必要)。水曜休館(10月28日は開館、翌29日は休館)。観覧料は一般300円、常設展とセットで350円(10月28日と11月14日は無料)。高校生以下無料。問い合わせは同文学館へ(☎027・235・8011)へ。

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