《上州食三昧》全国にファン拡大 みそパン(フリアンパン洋菓子店) 「群馬発」食材こだわる

上毛新聞
2019年6月29日

 もちもちとした繭形のパンを頬張ると、みそだれの甘じょっぱい味が口に広がる。フリアンパン洋菓子店(沼田市西倉内町)の「みそパン」は、焼きまんじゅうの味をほうふつとさせる看板商品だ。通信販売では全国から注文が相次ぎ、多くのファンに親しまれている。

 本県を代表する郷土食の焼きまんじゅうは、沼田では「みそまんじゅう」と呼ばれる。みそパンは「その古里の味を生かしたパンを作りたい」と開発された。松村知幸社長(41)の父で、先代の信夫さんは1990年に会社を引き継ぐと、全国各地に売り込み、みそパンを広めていった。

 味を支えるのは「ソフトフランスパン」。独自のブレンドで、食感は一般のフランスパンより軟らかく、小麦の味をしっかりと感じられる。「生地はとてもデリケートで、機械を使うと破れてしまう」(松村社長)ため、職人が一つ一つ手作業で形を整えている。

 工場は年間ほぼ休みなく、午前2時から稼働。みそパンをはじめ、1日平均2千個を焼く。「パンは生もの」との先代の教えを継ぎ、保存料は使わない。添加物も最小限に抑え、消費期限は3日間ながら消費者に安心を届けている。健康志向のニーズにも応える。

 パンは直営の2店舗のほか、スーパーマーケットやショッピングモール、JR高崎駅構内の「群馬いろは」で販売。安全な味との評価から、保育園、幼稚園の給食やおやつ、医療機関の食事に採用されている。県外のイベントに参加するなどPR活動にも積極的だ。

 「群馬発」を意識し、県産食材にこだわる。自社の菓子パンには地元の野菜をふんだんに使い、ハンバーガー店にはブランド米「雪ほたか」の米粉で作ったバンズを卸す。

 松村社長は力を込める。「『群馬と言えばみそパン』と多くの人に認識してもらえるようにしたい」。これからも、味を守り、育てていくつもりだ。