《旬もの》野菜工房木村(坂東市) 甘い朝取りトウモロコシ

茨城新聞
2019年6月16日

トウモロコシは鮮度が命。この時季、坂東市の「野菜工房木村」では早朝4時から、トウモロコシの収穫に追われる。木村匡志さん(31)は「朝が甘味のピーク。気温の低い朝に取らないとどんどん糖度が落ちてしまう。時間との勝負」と話す。

今年は8日から収穫が始まった。「サイズがそろって、いい出来」と笑顔を見せる。「糖度はメロンと同じぐらい。果物並みの甘さ。てっぺんまで実が入っている」。緑の皮をむくと、黄色の粒が先端まできれいに並んでいた。粒一つが実の先に付いているひげ1本とつながっている。ひげはめしべで、粒とひげの数は同じなのだという。

木村家は代々続く農家。匡志さんは父暁さん(56)、母裕子さん(56)、妻の奈津美さん(31)と家族で農業を営む。2017年に株式会社化し、暁さんが社長を務める。キャベツやレタス、ロメインレタスなどの野菜を地元の市場に出荷する。

露地栽培のトウモロコシは、春白菜を収穫した後の畑で霜よけのトンネルを利用し3月末に種をまく。成長するとトンネルを外し株元に土寄せするなどして、6月に収穫できるように育てる。白菜に施した肥料の栄養成分を吸収し、おいしくなるのだという。

収穫は6月だけ。「品質のいいものを作りたい」と暁さん。「7月は虫が多くなるし、朝の温度が高く甘味が落ちてしまい、満足のいくものが少なくなる」と潔い。

成長すると2メートル前後になるが、受粉が終わると虫害の予防と倒伏防止のために頭頂部のおしべを切る作業を行う。収穫適期は3、4日と短い。暁さんは「早すぎると甘さがのらないし、遅すぎると実が入りすぎる」。試し取りして適期を見極め、一番上に付く穂だけを1本ずつ手でもぎって収穫する。「下の穂は受粉が不良だったりサイズが小さかったりするため、もぎらない」と匡志さん。家族4人で目が行き届く量だけを作る。

爽やかな甘味の「ゴールドラッシュ」をハウスで、こくのある甘味の「恵味」を露地で栽培する。どちらの品種も鮮度が高ければ皮が薄く生でも食べられるという。トウモロコシは市場出荷だけでなく、朝取りの直売を行う。5月下旬になると毎年、待ちかねた客から発売時期を問い合わせる電話が入る。

■メモ

野菜工房木村
▽坂東市生子1291
▽ホームページ
http://www.kimura-vege.jp

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