波山 芸術と人間像に迫る 県五浦美術館企画展開幕

茨城新聞
2019年6月8日

「近代陶芸の巨匠 板谷波山展」と銘打つ県天心記念五浦美術館の企画展が7日、北茨城市大津町の同館で始まった。「天心の教え、友との絆」がサブテーマ。岡倉天心の校長時代に東京美術学校(現東京芸術大学)で学んだ機縁を軸に、代表的な作風を示す陶磁器や同窓の友と交わした書簡など約40点の作品・資料で、その高い芸術と人物像に迫っている。

波山は、1872年に現在の筑西市に生まれ、1963年に91歳で死去。陶芸を芸術に高めた第一人者で、西洋のアール・ヌーボー様式を吸収し、風格ある典雅な作品を次々生み出した。陶芸分野で初の文化勲章受章者にもなった。

同展では波山が、天心の教育理念が浸透した時代の東京美術学校の彫刻科に学び、芸術としての陶芸を目指す端緒になった点に着目。また、同校で共に学んだ友で、後に天心の衣鉢を継いで文化財保護の分野で活躍した新納(にいろ)忠之介との固い絆にもスポットを当てている。

代表的な作風を示す器では、アール・ヌーボー調で水中魚が描かれた「葆光彩磁赤呉須模様鉢(ほこうさじあかごすもようはち)」や孔雀(くじゃく)の羽を文様にした「葆光彩磁孔雀尾文様花瓶(おもんようかびん)」など、つや消しの色彩がひときわ上品な作品がある。一転、昭和初期の頃に展開した文様のない作風や、晩年に近い頃に手掛けた「用の美」を追求した茶器なども並ぶ。

後には大家となった波山だが、明治30年代後半、窯を築いた当初は失敗ばかりで、資金繰りにも苦心した。そんな波山を、親友の新納は仕事を回したり、資金援助したりして支え続けた。双方の書簡には、そんな2人の関係がうかがえる。

企画を担当した同館の富永京子(けいこ)首席学芸主事は「作品とともに、交流があった人のエピソードも紹介した。器の美しさと、波山の人となりを感じてもらえれば」と話している。会期は7月15日まで。

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