大谷石「時の結晶」彩る 高級宝飾「カルティエ」展覧会 10月から国立新美術館、海外巡回も

下野新聞
2019年6月6日

 国立新美術館(東京都港区)で10月に始まる高級宝飾ブランド・カルティエの展覧会「カルティエ、時の結晶」で、宇都宮市の特産品である大谷石が宝石の飾り台に使用される。同美術館が5日の記者発表会で明らかにした。海外巡回も視野に入れており、大谷石を世界にPRする絶好の機会となることも期待される。

 展覧会は、序章と「色と素材のトランスフォーメーション」「フォルムとデザイン」「ユニヴァーサルな好奇心」の計4章で構成する。このうち、大谷石が使われるのは第2章「フォルムとデザイン」。大谷石の柱を組み、その上に展示品を配置することなどを予定している。さびた鉄などの素材も使い、洞窟の中で宝石を発見していくような展示をイメージしているという。展示スペースは約240平方メートル、使われる大谷石は約40トンで、宝石の展示は120点程度を想定している。

 会場構成を手掛けるのは、現代美術作家の杉本博司(すぎもとひろし)さん(71)と建築家の榊田倫之(さかきだともゆき)さん(43)による建築設計事務所「新素材研究所」(東京都港区)。榊田さんは「大谷石は普段の生活では見たこともないような宝石とは対極的で、素朴な石。石切り場のような空間を作り、宝石と大谷石の素晴らしさを感じてもらう」と話した。すでに大谷資料館で展示の検証も実施している。

 カルティエの国内展覧会は4回目の開催で、2009年の東京国立博物館以来となる。1970年代以降の現代作品にフォーカスし、個人所蔵の作品など、約300点を世界中から厳選した。展示は10月2日~12月16日。