《食いこ》木村屋本店(水戸市) 季節告げる和菓子の老舗

茨城新聞
2019年3月10日

観梅シーズンを迎えた水戸の街。市街地に店を構える木村屋本店は時を重ねた趣のあるたたずまい。店先の飾り付けが季節の移ろいを感じさせる。2~3月、県外からの客も多く特に忙しいという。

「創業は2代目が誕生した万延元(1860)年としている。桜田門外の変があった年」と6代目の木村智彦さん(42)。1952年に建てられたという店舗は、東日本大震災で大規模半壊の被害を受けたが再建した。

智彦さんは5代目の父恒雄さん(70)らと和菓子作りに励む。「道具は補助的なもので、和菓子は手で作る。イメージを膨らませて、花や鳥の形を表現する。季節や情緒も味わってもらう」と職人の技術と感性が宿る。

3月中旬はあんを使う練り切りの「香梅(こうばい)」、求肥(ぎゅうひ)に卵白を入れた雪平(せっぺい)の「裏梅(うらうめ)」など繊細で華やかな上生菓子、季節で作る桜餅や草餅。銘菓「水戸の梅」や饅頭(まんじゅう)、もなかなど多彩にそろう。智彦さんが新しく取り組んだ皮が厚めの黒糖饅頭やわらび餅も店頭に並ぶ。作り続けてきた和菓子も配合を変えたり、日持ちする工夫をしたりと日々進化。しなやかに伝統を受け継ぐ。

あんを求肥で包みシソの葉で巻いた「水戸の梅」は水戸菓子工業協同組合に加盟する4社が製造販売できる。木村屋本店では、白あんではなく、小豆のこしあんを求肥でくるむ。1週間かけて砂糖(蜜)漬けしたシソの葉を作る。「口の中に残らないようにシソの葉の太い葉脈を取り除いているのも手作りのよさ」と手間暇を掛ける。

取り合わせの良いものを例えて「梅にウグイス」というように、「うぐいす餅」を作るのは梅の季節の2月から3月彼岸ごろまで。細長い形が鳥のくちばしと尾を表し、香ばしいきな粉がかかる。

和菓子は年中行事と密接に関わり五穀豊穣(ほうじょう)や子孫繁栄などを祈る意味合いがあったり、季節を先取りしたりと奥深い。「コンビニで和洋菓子が買える時代だが、お客さまとのコミュニケーションで、本来の由来や歴史を伝え、専門店ならではの良さを示したい」と力を込めた。

■お出かけ情報
木村屋本店▼住所は水戸市南町1丁目2の21
▼営業時間は午前9時~午後6時半(土曜・祝日は同6時)
▼定休は日曜、観梅期間は月曜定休、季節により不定休
▼(電)029(221)3418

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