《まち歩き・里歩き》スタート 嬬恋村運動公園(嬬恋村大笹) 心和む自然と歴史

上毛新聞
2015年10月21日

高原キャベツやスキー場など四季折々の魅力で全国に知られる嬬恋村。中心部に近い村運動公園は天然芝のグラウンドがあり、プロサッカーチームが利用することもある。近くに吾妻川が流れ、ここからは雄大な浅間山がはっきりと見える。大きく息を吸いこんでから、少し冷たい風が吹き抜ける公園を出発した。

吾妻川の右岸、少し高台に造られた運動公園。サッカーグラウンドをはじめ、陸上用のトラック、野球場などが整備されている。訪れた日は、嬬恋西部小の児童がマラソン大会の練習をしていた。スタートの合図とともに勢いよく駆け出す子どもたち。周囲からは「頑張れ」「あと少し」と声が掛かった。声援の力を借りて、坂道を下った。
住宅街を抜けると、どこからかにぎやかな声が聞こえてきた。楽しそうな様子に引かれ、声の方へ行ってみた。嬬恋西部幼稚園が祖父母参観日を開いており、見学させてもらった。園庭で園児が、練習を重ねてきた組み体操を次々と披露していた。4歳の孫の体操を見ていた黒岩坂男さん(78)は「普段とは違った表情を見ることができて良かった」と目を細めた。
道路に転がるドングリを見つけ、その先を進んでいくと、うっそうとした林の中にある大笹神社の正面に出た。神社では毎年9月、伝統の獅子舞が披露されているという。勇壮な獅子舞を想像しながら、さらに西へ向かった。
地元で「いちじんさま」と親しまれてきた無量院の五輪塔を見つけた。室町時代の法塔で、高さ1・15メートル。同院の母体となった真言東寺末一乗院の開祖、一乗院大法上人の墓と伝えられている。塔の全てで宇宙を表しているとの説明があり、しっかりと手を合わせた。
雲が増え、少し風も冷たくなってきた。なだらかな下り坂を急ぎ足で東へ向かい、大きな橋を渡って、さらに下る。川の流れる音が大きくなってきた。群馬・長野 県境にある鳥居峠から発する吾妻川だ。わずかな日 差しが、キラキラと水面(みなも)に反射している。
県内最西の駅、JR大前駅に寄った。一日上下10本が運行されている。学生や観光客が10人ほど降りてきた。横浜市戸塚区から来た芹沢匠さん(58)=写真=は、全国の鉄道を全て乗車しているつわもの。「八ツ場ダム建設の影響で線路が変わったので、30年ぶりに吾妻線に乗りに来た」と笑顔で話してくれた。
豊かな自然の中で育まれた歴史や文化に触れ、この地で暮らす人々や旅行者にも出会えた充実の散策。ほっこりした気持ちを胸に、再び公園を目指す。吐く息は少し白くなっていた。
(文化生活部 毒島正幸)

【コースの特徴】
坂道の多い6.8キロ。行楽シーズンは交通量も増える。履き慣れた運動靴で出掛けたい。

【寄り道したら】「大前食堂」 地元野菜たっぷり
嬬恋村役場にほど近い、国道144号沿いで40年にわたり営業を続ける大前食堂。地元の人はもちろん、行楽やスキーのシーズンは、県外からの観光客も立ち寄るという。店主の市場とみ子さん(71)は「鉄道人気もあって、最近はJR吾妻線の利用者も多い」と笑顔を見せる。
人気のメニューは、地元産キャベツたっぷりのしょうが焼き定食(900円)=写真。オリジナルのたれで焼いた豚肉のほか、近くの畑で栽培するキュウリやトマトも添えられている。ボリュームのあるカツ丼(850円)や麺類も好評だ。
間もなく本格的な紅葉シーズン。市場さんは「四季それぞれの嬬恋を楽しんでほしい」と呼び掛ける。
午前11時半~午後3時。不定休。問い合わせは(☎0279・96・1100)へ。

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