町が丸ごとホテル 宿泊に空き家2軒改修 食事は地元店や自炊 甘楽でプロジェクト始動

上毛新聞
2018年12月23日

町全体を一つのホテルに見立て、宿泊してゆったり滞在することで地域の魅力に触れてもらう甘楽町の事業「The Hotel甘楽プロジェクト」が始動する。町内の空き家を改修した2軒の宿泊施設を拠点に、食事は地元の飲食店などを利用してもらう仕組みで、観光客や移住を希望する人の呼び込みにつなげる。来年1月に営業を開始する。

町によると、町内の宿泊施設は現在、町都市農村交流協会が運営する「甘楽ふるさと館」のみ。観光シーズンの春先には花見客らですぐに満室になることもある。一方、社会問題になっている空き家は町内でも増加傾向にある。プロジェクトは、こうした空き家を有効活用するとともに、より多くの宿泊客を受け入れて、地域ににぎわいを生み出す狙いがある。
2軒はいずれも町が所有者から借り上げ、改修した。このうちの1軒、「甘楽亭」は道の駅甘楽(小幡)近くで、町中心部の住宅街に立地。築40年の平屋で、天井を張り替えたり耐震補強を施したりした。広々とした室内には居間やキッチン、風呂などを備える。料金は宿泊人数によって変わり、1、2人での利用は1泊8千円。最大6人まで利用できる。
食事は道の駅甘楽や飲食店、来春の開業を目指している近くの「農家レストラン」を利用できるほか、食材を用意すれば自炊することも可能だ。
もう1軒は、山間部の秋畑地区にある養蚕農家。近くにソバ畑があり、「自然を満喫したい人にお勧め」(町担当者)という。
町は旅館業の許可を得て、関連する議案を12月定例会で可決した。予約受け付けや鍵の受け渡し、精算は町が対応。町ホームページなどで周知を図る予定だ。茂原荘一町長は「多くの人が気軽に泊まって、歴史ある町の良さを肌で感じられるようにしていきたい」と話した。