「平和、命の大切さ知って」 映画「サクラ花」試写会 神栖

茨城新聞
2015年10月12日

 戦後70年に合わせ、太平洋戦争末期の特攻機「桜花(おうか)」をテーマに製作された映画「サクラ花~桜花最期の特攻~」(松村克弥監督)の先行上映会が11日夜、神栖市内で開かれた。桜花の特攻訓練が行われた神之池海軍航空基地は、同市と鹿嶋市にまたがって存在した。神栖市溝口の市文化センターで開かれた先行上映会では地元が関係した戦争の歴史を伝える作品とあって、会場を埋め尽くした約900人の市民がスクリーンに熱視線を送った。
 上映を前に、保立一男市長が「基地は深芝、居切、新日鉄住金がある地区にあった。この映画を通して地元の歴史を知ってもらい、平和の大切さ、命の尊さをあらためて考えてほしい」とあいさつ。その後、約1時間30分の作品が上映された。地元での訓練後に戦地へ赴いた若い特攻兵の心の葛藤がありありと描かれ客席からは深いため息が聞こえた。
 上映後は、松村監督と、桜花を積んだ一式陸攻操縦士を演じた取手市在住の俳優、城之内正明さんが登壇し、鈴木誠副市長を進行役にトークショーが行われた。作品に込めた思いや制作秘話などを披露。母親が行方市出身という松村監督は「地元でもあまり知られていない歴史。人ごとじゃない。特に若者にあのころの現実を今の空気の中で見て感じてほしい」と声を強めた。城之内さんは、撮影が行われた県内で連日炊き出しをしてくれた人々への感謝の思いなどを語りながら「この映画をお子さんたちと見てもらい、家族で考えてほしい」と呼び掛けた。
 作品を見終えた神栖市、パート職員、女性(57)は「自分の子どもが特攻に行くなんて考えたら耐えられない。二度とあってはいけない歴史だと、あらためて考えさせられた」と語った。
 映画「サクラ花」は11月に封切り。県民文化センター(水戸市)で2、3日、その後に全国各地で上映される。鹿嶋市でも同月下旬、予定されている。

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