牛久大仏で体験 写経人気、じわり 心の安らぎに満足感

茨城新聞
2018年9月5日

世界最大の青銅製立像としてギネスブックに登録されている牛久大仏。その大仏さまの胎内で体験できる写経が、シニア世代だけでなく、若者や外国人の間でも人気が高まっている。「無心になれた」と、心の安らぎに満足感を示す体験者たち。牛久大仏管理事務所によると、「御朱印ブームに乗って、若い世代が仏教を身近に感じるきっかけとなり、写経に関心が向いているのでは」とみている。

大仏さまの地上10メートル、胎内2階にある「知恩報徳(ちおんほうとく)の世界」。そこはシーンと静まり返った空間が広がっている。時折、硯(すずり)に筆を置く音がかすかに聞こえてくる。

写経は「般若心経」を書き写すのが一般的だが、牛久大仏では、浄土真宗の経典の一節「三誓偈(さんせいげ)」と「和讃(わさん)」とお経の一節「回向(えこう)文(もん)」の3種類。薄墨で書かれたお手本の上をなぞっていくのが特徴だ。

「なぞることで、子どもや外国人でも気軽に体験できる。書くことだけでなく言葉に出して唱えることをお薦めしている」と同事務所。価格も1枚200~500円とお手頃だ。短い写経では、所要時間は約20分程度だ。

同事務所によると、写経に訪れる人は、若い女性を中心に年々増加。月平均で約1500人が体験している。県内や近隣県からだけでなく、タイやベトナムなどアジア圏の外国人観光客の体験者も増加傾向にあるという。

寺院巡りが好きで、以前から写経に興味があったという神奈川県在住の鳴海法喜(なるみのりき)さん(25)は「静かな空間で筆を持つのは新鮮な気持ち。達成感がある」と話し、一緒に来ていた千葉県在住の高橋ゆいさん(25)は「普段正座することが少ない生活を送っているので足がしびれたが、集中した時間を過ごせた」と話した。

一方、鹿嶋市から友人と体験に訪れた君和田通子さん(63)は「無心になれた。(写経というと長時間だが)短時間だったので、疲れなかった」と満足そうに話した。

同管理事務所は「宗教の信仰にかかわらず、慌ただしい生活の中で、写経を通じて、心落ち着く時間を過ごしてもらえれば」と話している。

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