《旬もの》石岡鈴木牧場(石岡市) 土作りからこだわる牛乳

茨城新聞
2018年8月19日

石岡市の石岡鈴木牧場。牧場を営む鈴木昇さん(69)は「牛乳のおいしさは土作りから。健康な牛の基本は餌。餌を作るのは健康な土」と話す。牛のふんで良質なたい肥を作り健康な土を作る。その土で育てた牧草やトウモロコシを餌にした健康な牛から、おいしい牛乳ができるというわけだ。「いいものを消費者に届けたい」。その思いが貫かれている。

牧場は昇さんと妻のともえさん(68)、次男の績さん(37)、美登里さん(39)夫妻による家族経営。「目の届く範囲の適正規模で牛を健康に飼うこと」を目指し、ホルスタイン種を中心に育成牛を含む45頭を飼育する。併設の「チーズ・ヨーグルト工房」でこだわりの牛乳を原料に乳製品を作る。今夏から牛乳の製造も始まった。

昇さん夫妻はともに酪農家の生まれ。昇さんは獣医として県に勤務していたが、30歳の時に家業を継いだ。師と仰ぐ酪農家と出会い、講習会や酪農家グループを通し、健康な牛を育てるための土作りの大切さを学び、実践してきた。その結果、牧場特有のにおいがしないと言われようになった。

牛のふんのたい肥は5~6カ月かけ発酵させると「山の土のようなにおい」になる。飼料はできるだけ自給しており、たい肥をすき込んだ畑で牧草やトウモロコシを育てる。

乳製品の加工は、ともえさんがヨーグルトを作ったところ好評で、2004年からヨーグルトの製造を始めた。09年からチーズ製造も開始。レストランシェフの目に留まり「風味があっておいしい」と評判になり口コミで広がった。美登里さんがチーズ作りの責任者となり「モッツァレラチーズ」や「さけるチーズ」などを作る。ミルクの香りや軟らかな食感が楽しめる。

6月に念願の牛乳プラントが完成、7月から稼働した。現在、牛乳は常総生協と石岡市のJA新ひたち野農産物直売所大地のめぐみで取り扱う。ヨーグルトも牛乳も瓶入り。リサイクルできる瓶に入れることで持続可能な農業に取り組んでいる姿勢を示す。

チーズとヨーグルトは県内外のレストランで味わえ、ポケットファームどきどきなど県内の農産物直売所ほかで販売する。工房でも直売するが、営業時間ではなく“対応時間”とするのは「牛が最優先」という表れという。

■メモ
石岡鈴木牧場▽住所は石岡市大砂10383の1
▽対応時間は午前10時~午後4時
▽定休は水曜
▽チーズ・ヨーグルト工房

(電)0299(23)1730

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