《食いこ》ぎゅうぎゅうきっちん(北茨城市) 「雨情の里牛」の味伝える

茨城新聞
2018年8月5日

ハンバーグがじゅうじゅうと音を立て、熱々の鉄板に載って出される。店中に食欲をそそる匂いが立ち込める。北茨城市にある「雨情の里牛」専門のレストラン「ぎゅうぎゅうきっちん」。生産者でもある岩瀬忍さん(42)がそのおいしさを地元の人に知ってほしいと、昨年6月オープンした。

雨情の里牛はJA茨城ひたち(現JA常陸)がブランド化した黒毛和種とホルスタイン種の交雑種。現在、北茨城市と日立市で生産される。「黒毛和牛に比べ軟らかい肉質で、脂身が少なくヘルシー」と岩瀬さん。

実家は牛の肥育農家。岩瀬さんが両親らと営む農事組合法人「北茨城肉牛センター」は福島県境に近い標高約600メートルの地で雨情の里牛1100頭を飼育する。「主な出荷先が東京のため、育てた肉がどんな形で販売されているのか分からなかった。地元で雨情の里牛を口にしてもらえる機会がめったにないことにも常々もどかしさを感じていた」と話す。自分が納得する形で、直接消費者の元に届けたいという思いが募った。元々料理好き。「部位によって味わいが変わる。どういう調理法が合うのか」と日々研究を重ねた。キッチンカーでイベントに出店するようになり、専門店の開店に至った。

お薦めはオーブンで焼き上げ、鉄板で出すハンバーグ。「試作を重ね、ぱさぱさしないようにつなぎに豚肉を入れている。肉汁があふれるように調理法を研究した」という自信作。おろし玉ネギの和風と同店オリジナルのデミグラス。手作りの2種類のソースから選べる。

ステーキ丼は脂と赤身のバランスがよく、軟らかいサーロインとリブロースの部位。もも肉を使うローストビーフ丼は「肉のうま味をしっかり感じられる」。筋肉などを使ってカレーやビーフシチューなどの煮込み料理を作ることもある。ハンバーガーはイベントでも定番。店の料理は持ち帰りできる。

「1頭丸ごとをそれぞれの部位の特性に合った形で提供できるサイクルを作り上げたい」。生産者と飲食店主。二足のわらじを履いて奮闘中だ。

■お出かけ情報
ぎゅうぎゅうきっちん
▼住所は北茨城市磯原町磯原5の151
▼営業時間は午前11時半~午後2時半(ラストオーダー同2時)、夜の営業は金曜・土曜で午後5時半~同9時(同8時半)
▼定休は日曜・月曜・火曜
▼(電)0293(44)6700

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