「泊食分離」いかが 素泊まり需要に対応 四万温泉

上毛新聞
2017年12月30日

中之条町の四万温泉で、宿泊と食事を別の場所にする「泊食分離」の動きが出ている。四万温泉協会(関良則会長)加盟の宿泊施設のうち、半数以上で素泊まり客の受け入れが可能。現在、夕食を提供する飲食店は限られており、夕食だけでも受け入れる宿泊施設が出始めている。インバウンド(訪日外国人客)対策や幅広い客の獲得に向け、態勢整備を進めている。

協会によると加盟35軒の宿泊施設のうち、素泊まり専用が1軒、他に約20軒が素泊まり客に対応する。外国人の個人客や好きなものを食べたい人、宿泊費を抑えたい人らに対応するため、ここ数年で増加した。

四万温泉は小規模な施設が多く、料理人を雇用できず本格的な料理の提供が困難になるなど、施設側の人手不足という問題も素泊まり対応の施設が増えた要因となった。

泊食分離を推進するため、夕飯を提供する飲食店の確保が課題だ。温泉街の飲食店16軒のうち、夕食を提供するのは6軒。小規模の店舗がほとんどで、定休日が重なることもある。宿泊客から、食事場所を増やしてほしいとの要望を受け、夕食だけを受け入れる宿泊施設が出てきた。

田村旅館が運営する四万グランドホテルは1、2年前ほどから、混雑時以外に、予約者を対象に夕食のみの受け入れを始めた。利用客はまだ少ないが、茂木義雄常務(60)は「いろいろなものを食べたいという顧客のニーズは必然の流れ。PRして素泊まり客の夕食の受け入れ先になれるようにしたい」と話す。

同ホテルのように、夕食のみでも受け入れ可能な宿泊施設は10軒程度ある。協会は今後、宿泊客以外も受け入れるよう働き掛けていく。関会長(53)は「顧客のニーズに合わせ、旅館と飲食店を自由に組み合わせられるような選択肢を提供できるようにしていきたい」と話している。

◎湯治復活へ新プラン ヨガ教室健康料理
国民保養温泉地第1号として湯治で栄えた文化を復活させようと、四万温泉協会は1月22日から3月31日まで、「現代版湯治プラン」を実施する。温泉街の旅館や飲食店がヘルシーメニューを提供。ヨガや体操の教室も定期的に開き、温泉入浴と組み合わせて健康になれるプランをPRする。

プランでは、13旅館・ホテルと6飲食店がそれぞれ考案した①バランスの良い②塩分や油分控えめ③かむよう工夫された④野菜たっぷり―の健康的メニューを提供する。旅館は15種類の野菜を使用したロールキャベツや旬の野菜を使ったコース料理などを扱う。飲食店はタコライスやおきりこみをヘルシーにアレンジする。

協会で期間中の毎週月曜日と金曜日に、ノルディックウオーキングのポールでストレッチや筋トレを行う「ノルディックポールエクササイズ」を実施。日本ノルディックフィットネス協会インストラクターが指導する。四万清流の湯では毎週木曜日と土曜日にヨガ教室を開き、全米ヨガアライアンス協会認定指導者が講師を務める。

協会は2015年から、健康計測器メーカーのタニタ(東京)などと連携し、温泉と健康食を組み合わせた宿泊プランを売り出す「ヘルスツーリズム」を実施している。今回は、対象を飲食店にも広げ、協会独自のプランを作成した。

企画した協会の宮崎博行さんは「若い女性をターゲットにした。温泉と健康食と運動を組み合わせたプランで、日々の健康づくりのきっかけにしてもらえれば」と話している。

【写真】「泊食分離」の取り組みを進める四万温泉街

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