潮来市・前川周辺整備 通年型観光地へ期待

茨城新聞
2017年5月14日

「水郷潮来あやめまつり」で知られる潮来市で、市内を流れる前川の周辺整備事業が進む。水運の要衝として栄えた江戸時代の河岸跡整備や古民家の活用、ろ舟などの遊覧船ルート延伸で、観光振興につなげるのが狙い。市の観光はこれまで毎年約80万人の観光客が訪れるあやめまつり頼みで、にぎわいは限定的だった。前川沿いに新たな観光拠点ができることで観光エリアが広がり、通年型観光地への期待が高まる。

「前川周辺整備基本構想」「前川歴史を活かしたまちづくり実施計画」「前川かわまちづくり計画」-。市では約30年前から、いくつもの前川周辺整備構想が練られてきた。河岸跡整備もかつての計画に盛り込まれていたが、思うように進まなかった。

しかし、昨年9月の県の補正予算に河岸跡周辺の護岸整備費が盛り込まれたことで、市の前川周辺整備事業も動き出した。石蔵や山車庫を活用する津軽河岸跡整備のイメージ図が、ようやく日の目を見ることになった。原浩道市長は計画を進めるに当たり、「歴史ある街並みを取り戻し、あやめ園から観光客の動線を延ばしてにぎわいにつなげたい」と意欲を示す。

■船着き場新設へ

あやめまつりに欠かせないのが各種観光遊覧船の存在。嫁入り舟や娘船頭さんでおなじみの手こぎのろ舟などだ。現在、それらの舟は主に常陸利根川から前川のあやめ園周辺まで運行しているが、今後、ルートの延伸構想がある。

あやめ園から数百メートルに位置する津軽河岸跡の整備計画では、船着き場の新設のほか、石蔵を活用した交流拠点づくりも検討されている。近くでは古民家の水郷旧家「磯山邸」が改修工事を終え、交流拠点としての活用が始まった。ほかの河岸跡の整備も視野に入っている。

また、前川のさらに2~3キロ先にある「道の駅いたこ」も4月、野菜直売所が売り場を増床して新装開店。今後は裏手の前川そばの芝生広場の整備も進める予定だ。

前川周辺で観光エリアが拡大され、観光拠点同士を観光客を乗せた遊覧船が行き来する光景は、きっと日常的に船が行き来したかつての水郷風景に重ね合わせられることだろう。

■柔軟に資源創出

昨年からは、従来の観光資源にこだわらない、新たな観光資源の創出も始まった。観光客たちの情緒ある足として、市と市商工会が人力車を導入。観光客を乗せ、あやめ園や市内の史跡などを巡っている。さらに市商工会は昨秋、あやめ園で初めてハロウィーンパーティーを開催。仮装した参加者が多く集まり、音楽ライブや出店などを楽しんだ。

ろ舟の運行も、あやめまつり期間に限定せず拡大。春には前川沿いの華やかなサクラ、あやめまつりを控えたゴールデンウイークには品のあるフジといったように、季節の花を見ながら遊覧を楽しめるようになってきた。

潮来の象徴、観光の中心としてアヤメの存在に主眼を置くことは今後も変わりはないが、アヤメ依存体質からの脱却を図り、官民一体となって、観光地づくりをしていくことが求められる。その前提として、観光振興だけでなく、市民が郷土に愛着を持ち、誇りを持てるまちづくりを進めることが大切だ。

★水郷潮来あやめまつり

1952年に始まり、当初はアヤメやハナショウブの愛好家たちがビール瓶などに切り花を入れて行っていた。園内にはアヤメやカキツバタ、ハナショウブなど約500種100万本が植えられ、園内一面に咲き誇る。期間中は潮来花嫁さんや嫁入り舟、あやめ踊り披露など水郷ならではの催しが満載。今年は27日に開幕し、6月25日までの約1カ月間開かれる。

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