新田次郎「ある町の高い煙突」 日立の大煙突映画化、松村監督発表会見

茨城新聞
2017年4月14日

鉱山の煙害を克服した日立の大煙突建設を巡る実話を描いた直木賞作家、新田次郎の小説「ある町の高い煙突」が来年、映画化される。監督は「天心」など本県に縁がある作品を手掛けてきた松村克弥さん。市は「大煙突は日立のシンボル」として、資金面を含めて支援する考え。市民による応援組織も立ち上がっており、まちを挙げてサポートする。製作発表会見が13日、同市内で開かれ、松村監督は「大煙突を造る過程の人間ドラマを描きたい」と意欲を語った。

1905年の日立鉱山操業に伴う煙に含まれた亜硫酸ガスは周辺の山々を枯らし、農作物に大きな被害をもたらした。若者を中心に住民が立ち上がり、同社側と壮絶な交渉により、高さ155・7メートルを誇る世界一の大煙突建設による煙害克服へと向かっていった-。小説は住民側の関右馬允、企業側の角弥太郎を中心に描かれ、69年に出版された。

映画化は2014年、ひたちなか市内での「天心」上映会で、松村監督が参加者から同小説を紹介されたのがきっかけ。新田作品の中で映画化されていない数少ない小説で、日立市民からも「ぜひ映画に」との熱い思いが寄せられたことから、メガホンを取る決意をしたという。

年内に脚本を仕上げ、来年4月ごろ、約1カ月間で撮影。同年末の全国50館での公開を目指す。撮影はほぼ日立市内で行う方針だ。製作費は約1億8千万円を見込み、企業・団体から寄付を募る。

会見で、プロデューサーの亀和夫さんは「(同小説は)企業の社会的責任の原点。住民と企業が対立から和解へと向かった。作品は現代的なテーマ」と映画化の意義を強調した。

同市の小川春樹市長は「(市は)市民と企業・団体、行政が三位一体でまちづくりを続けてきた。この映画も三位一体で完成させないといけない」とし、市として積極的に支援する考えを示した。

市民側でも映画化に賛同し、応援する会が立ち上がった。同会事務局長の原田実能さんは「市民にもっと大煙突のことを知ってほしい。映画を通してこのまちを元気にしていく土台をつくりたい」と話した。

松村監督は「100年も前にあった(住民と企業が共生する)大煙突の物語は奇跡的で心打たれた。原作をさらに掘り下げ、奥行きのある作品にしたい」と語った。今後、本県出身者を含め出演者を決めるという。松村監督は会見に先立ち、予告編用の素材を市内で撮影した。 

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