榛名神社を大修復へ 重文4棟に23億円 高崎

上毛新聞
2017年1月4日

1000年以上の歴史を持ち、近年は「パワースポット」として人気がある榛名神社(高崎市榛名山町)の国指定重要文化財4棟が2017~25年度に大幅に修復されることが31日、分かった。本格的な修理が百数十年以上されてこなかった建築物ばかりで老朽化が進んでおり、文化庁や県、高崎市との協議がまとまった。9年計画の総事業費は23億円が見込まれ、県内の寺社建築の修復では過去最大規模となる。

◎17~25年度、7割を国負担
修復されるのは「本社・幣殿・拝殿」「国祖社(こくそしゃ)・額殿(がくでん)」「神楽殿」「双龍門(そうりゅうもん)」。いずれも18世紀中ごろから19世紀中ごろまでに建てられた。特に権現造りの本社などは「御姿(みすがた)岩」と呼ばれる岩山に組み込まれるような他に例のない珍しい構造で、岩の中の洞窟にご神体が祭られている。建物に精巧な彫り物と多様な彩色が施されているのも特長。

本社などは2002、03年度にひずみや風雨で傷んだ箇所を改修したことがあるが、本格的な修復はされてこなかった。「このままでは先人が守ってきた貴重な建物を後世に残せない」(佐藤真一宮司)と12年ごろから、大掛かりな修復計画が持ち上がった。文化庁関係者もこれまで複数回訪れており、建物を視察している。

歴史的な建造物の修理に関する計画の策定や設計を専門とする文化財建造物保存技術協会(東京都荒川区)が14、15年度に国重文の6棟を調査。総工事費が大きいことから、寺の中心的な施設の4棟を優先的に修復することにした。

計画案では17~19年度に国祖社・額殿、20~21年度に双龍門、21~25年度に本社・幣殿・拝殿、23~25年度に神楽殿を工事対象とする。国祖社などは解体した上で色を塗り直す予定という。

総工事費のうち7割を国、残りを県と高崎市、神社が負担する。国は16年度第2次補正予算(16年10月成立)で7000万円を計上しており、新年度に繰り越す。県と高崎市は新年度当初予算案に関係費を計上する方針を固めている。

今年5月ごろに入札し、夏には着工する見込み。工事中も訪問は可能だが、現状を見学できるのは、あと数カ月となる。

26年は、神社が60年ごとに10日間にわたって開く一大行事「丙午(ひのえうま)還暦大祭」が行われる。修復が終わり、建造当時の美しさが戻る中での祭りとなることが期待されており、佐藤宮司は「これまでなかなか修復ができなかった。夢のようだ」と喜んでいる。

《榛名神社》 榛名湖の西南、榛名山の中腹にある神社。927(延長5)年に完成した全国の主な神社名を記した「延喜式神名帳」には、既に「上野国十二社」の一つとして掲載されている。多くの貴重な文化財があり、2005年12月に「本社・幣殿・拝殿」「国祖社・額殿」「神楽殿」「双龍門」「神幸殿」「随神門」の6棟が国重要文化財に指定された。近年は県内のパワースポットの代表格として若者らから人気を集めている。

◎訪日客を地方へ 「観光立国」で文化庁
榛名神社の本格的な修復が決まった背景には、政府が推進する「観光立国」の目標がある。東京や京都、大阪といった大都市に偏っているとされる訪日外国人。その人気を地方に分散させるため、文化庁は観光資源として各地にある文化財に着目している。文化財の保存・修理を強化していくことにより、日本の歴史的な建造物に強い関心を持つ外国人を地域に呼び込み、経済の活性化を図ろうと考えている。

23億円と見込まれる総事業費のうち、国が7割を負担する大きな理由もそこにある。県内寺社建築の大規模な修復事例は、妙義神社(富岡市妙義町)で1985~89年度に行われた「昭和の大修復」で約4億円、貫前神社(同市一ノ宮)で2009~13年度にあった「平成の大修復」で約4億8000万円。これらと比較して今回の修復が極めて異例であることがうかがえる。

日本建築史を専門とする県文化財保護審議会審議委員の村田敬一さんは「観光資源としての可能性を含めて国が榛名神社を高く評価した結果の修復決定だろう。修復の際には調査も行われるので、新たな価値が分かるかもしれない」と指摘する。

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