「人と食」見つめ直す アーツ前橋で企画展 農業、暮らし…作家が表現

上毛新聞
2016年11月16日
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「食べること」は生きていくのに不可欠な行為であると同時に、人と社会、文化などとを結び付ける役割も果たす。アーツ前橋(前橋市千代田町)の企画展「フードスケープ 私たちは食べものでできている」は、こうした「人と食の関係」が変わりつつあることに着目。インスタレーションや写真、映像を通して、現代の食の在り方や未来の姿を考えさせる展覧会だ。

2014年から続けている「衣食住」をテーマにした企画展の第3弾。国内外の作家8組の新作と、収蔵品を合わせ24点を展示している。
床に描かれた日本地図の上に、農地を表す土のコインを並べた作品「ソイル・チェンジ」。少し離れた場所に「自然農法」「新技術の開発」などのテーマを掲げた10個の筒があり、来館者はコインを拾い“投資”したい箱に入れる。一連の行動によって、農業の未来に思い巡らすことができる。
作者は米アリゾナ州在住の作家で、農業を営むマシュー・ムーアさん。「前橋での取材で、日本独自の伝統的な考え方に、所有者と土地との精神的なつながりがあることに気付いた」という。現代の日本人の土地利用に対する考えを知ろうと、土を使った作品を創作した。
オランダ・ロッテルダムで活動するワプケ・フェーンストラさんは、10代の農業後継者を追った作品などを手掛けてきた。今夏、前橋市内の農家6軒を訪ね、年間スケジュールや栽培作物、生活を聞き取り、撮影した。自身も農業に携わるフェーンストラさんは「日本の農家が高齢であることに驚いたが、国は変わっても通じるものがある」と話す。作品「地元の農家たち」は、作物が消費者に届けられるまでの膨大な時間と労力に気付かせてくれる。
同館の地域アートプロジェクトとして、同市粕川地区の高齢者から食や暮らしを取材している女性2人組「南風食堂」は、「食べもの」を使った作品を出品。高齢者から学んだ「発酵」に注目したインスタレーション「集団繁殖地」で、赤城山・小沼の水や赤城神社周辺の植物を利用している。会期中、発酵が進み、人が多くの微生物と共生していることを実感できる。
館内のカフェで作品を“味わう”こともできる。
フランス人シェフで同市内でも活動するジル・スタッサールさんの作品は「わたしたちそのものをたべる」。市内の食材などで作ったサンドイッチとそれに似せた本を1枚のプレートに並べた(1500円、1日5食限定)。本には生産者の顔写真や言葉を掲載。サンドイッチ一層一層にある物語を感じながら味わうと、食べることと知識を学ぶことは似ていることが分かる。蚕のさなぎを使ったタルト(450円)は、日本の伝統的な食文化や将来の食料危機への問い掛けでもある。
同館学芸員の辻瑞生さんは「さまざまな作家の表現から『食べる』という日常の行為を改めて見つめ直し、自然や社会を考えてほしい」と話している。

【メモ】企画展は来年1月17日まで。水曜休館。一般600円。関連イベントとして12月3日午後2時から「トーク・未来の昆虫食堂」を開く(無料、要申し込み)。12月の毎週金曜午後1時からシネマまえばしで映画上映会「フライデー・フード・シネマ」を開催。食にまつわるドキュメンタリー映画を上映する。入場料800円(展覧会観覧券提示で500円)。問い合わせは同館(☎027・230・1144)へ。

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