水戸芸術館で開幕 県北「傘」アート回顧 クリストさん 「自然味わって」

茨城新聞
2016年10月1日

25年前、本県北部と米カリフォルニア州南部を舞台に青と黄色の傘3100本を配置した「アンブレラプロジェクト」。大規模な野外アートの取り組みを、ドローイングや写真、関連資材などで回顧する企画展が1日、水戸市五軒町1丁目の水戸芸術館現代美術ギャラリーで開幕。プロジェクトを主導した世界的美術家のクリストさん(81)が30日、内覧会に訪れ、「傘と一体となった風景全てが自分の作品。本展を見て、水と緑が豊かな県北の自然を味わってほしい」と語り掛けた。

景観を変貌させるアーティストとして知られるクリストさんと、妻のジャンヌ=クロードさん(2009年死去)は1991年秋、旧常陸太田市と旧里美村、米国で大規模なプロジェクトを展開した。「一時的なアート」と称し、本県では水田や川に1340本の青い傘を、米国では丘陵地帯に1760本の黄色い傘を同時に配置。18日間の会期中、日本で50万人、米で200万人が自然と溶け合う芸術を鑑賞した。

「クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ 日本=アメリカ合衆国 1984-91」と題された同展では、クリストさんが手掛けたドローイングやコラージュ作品、直径約8・7メートルの傘本体、ジオラマなど約490点が展示される。

内覧会でクリストさんは、プロジェクト期間の84~91年の歩みを、傘の制作過程や、日米の地域住民との交流などを交え、回顧。「本展を見て、ぜひ県北を訪ねていただき、豊かな自然の中に傘があったことを想像してほしい」と笑顔で話した。会期は12月4日まで。

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