《水辺の風景》渡良瀬遊水地 自然の宝庫 風も人気 

上毛新聞
2016年9月7日

群馬の板倉町と栃木、埼玉、茨城の4県にまたがる広大な渡良瀬遊水地。周囲の長さは約30キロにもなり、3つの調節池や本州では最大規模のヨシ原からなる。残暑が続くこの時季、“ハート形”で知られる谷中湖(渡良瀬貯水池)ではウインドサーフィンを楽しむ愛好者が数多く繰り出している。
谷中湖近くのサーフショップ「Mstyle」(エムスタイル、同町海老瀬)によると、週末ともなれば、周辺はウインドサーフィンやカヌーなどを屋根に積んだ車が首都圏各地から訪れてにぎわうという。
遊水地に10年以上通う小此木博志さん(36)=埼玉県熊谷市=は「いい風の吹く場所に集まるのがサーファーの習性。谷中湖は湖幅も広く、ウインドサーフィンに適した風が吹く」と教えてくれた。
東京ドーム700個分の広さを持つ遊水地は動植物の宝庫でもある。2012年7月、国際的に重要な湿地を保全する「ラムサール条約」に登録された。今では年間117万人を超える人が訪れる。
遊水地での自然観察会や環境啓発を行う「渡良瀬遊水地アクリメーション振興財団」(栃木県栃木市)によると、植物約千種、鳥類約260種、昆虫類約1700種、魚類約50種の生息が確認されているという。
「生きている自然の博物館」とも言われており、年間を通してさまざまな様相を見せる。それが多くの人の心を引き付ける理由かもしれない。

【メモ】
ラムサール条約は1971年にイラン・ラムサールで開かれた国際会議で採択。国内では北海道の釧路湿原など50カ所が登録されている。本県関係では遊水地のほか、尾瀬が05年、芳ケ平湿地群が15年に登録された。

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