高萩の朝香神社 600年前の棟札、里見氏の名

茨城新聞
2016年7月31日

高萩市上手綱の朝香神社(滝修司宮司)で600年前の室町時代中期に記された棟札が発見され、30日、専門家らが調査して確認した。棟札には「鎌倉新御堂殿、里見源基宗、寺岡平義之」と記されており、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」のモデルとなった房総・里見氏のルーツの一つが高萩だと裏付ける証拠とともに、室町時代に関東を二分した上杉禅秀の乱(1416~17年)で反乱軍(足利満隆、上杉禅秀)側の史料として東国史・中世史研究に極めて重要な史料になるという。

棟札は建物の築造や修理の目的、建築年月日、建築主など建築記録を記した札。朝香神社の創建は不明だが、高萩市史や松岡地理誌などには、旧上手綱村鎮守の「森明神」として1398(応永5)年造営の棟札が残り、1416(同23)年や1548(天文17)年の社殿造営の棟札がある、と記されていたが、棟札自体は発見されていなかった。

今回の発見は、千葉県の里見氏の研究者などからの問い合わせに朝香神社の氏子で郷土史研究家の作山寿男さん(74)が昨年、東日本大震災で散乱していた本殿側の倉庫内を整理し約20枚の棟札を見つけた。

調査は、国際日本文化研究センターの谷口雄太・外来研究員、元千葉県史中世史部専門員で同県立船橋二和高の滝川恒昭教諭(房総中世史、里見氏研究)、筑波技術大学職員(中世常陸史)の中根正人さんらが実施。発見された約20枚のうち、年代の古い4枚の棟札を赤外線カメラで撮影して消えた墨書を読み取り、形状調査などを行った。

里見氏の名前が書かれていたことで、滝川さんは「八犬伝の里見氏がこの地から来たという説があり、裏付ける有力な証拠が出てきたことになる」と期待する。 

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