漆の擦り込み体験 大子 作家が作品解説も

茨城新聞
2016年7月24日

「日本の伝統文化を国産漆の現場から学ぶ」をテーマに、漆の体験セミナーが23日、大子町で始まった。参加者は木皿に漆を擦り込んだり、光沢ある漆器を見て、国産漆の理解を深めた。

セミナーは町内外から約40人が参加した。漆の植樹などに取り組むNPO法人「麗潤(れいじゅん)館」事務所で、ナス形の木皿を紙やすりで磨いた後、漆の擦り込みに挑戦。かぶれないように注意しながら、丁寧に擦り込み、拭き取り作業に専念した。

漆器を展示・販売する「器而庵(きじあん)」では、漆作家の辻徹さんが、作品の特徴などを説明。参加者は作品に目を凝らすなどして、漆器に親しんだ。川崎市の小室知香さん(38)は「擦り込みは緊張した。漆器ができるまでの工程が分かり、価値を再確認した」と話した。

体験前には、町文化福祉会館で、東京農大地域環境科学部の宮林茂幸教授が講演。大子産漆を「透明度が高く、つやがあり、さらさらしている」と説明した後、「漆の里として、漆アカデミーを創設できないか」と提言した。

24日は漆かき現場の見学、漆の木の管理作業などを行う。

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